野球ファンなら誰もが知っている「三振」という言葉。
「大谷翔平の奪三振ショー」や「夏の甲子園、桐光学園松井裕樹の22奪三振大会新記録!」など耳にしたことがあるのでは?
そしてレジェンド野茂英雄の「ドクターK」でしょうか。
野球ファンなら三振を表す記号:アルファベット「K」についてはご存じでしょうけど、由来や理由についてはピンとこないのではないでしょうか?
この記事では、三振と「K」の関係、その歴史的背景について詳しく解説します。
なぜ三振=「K」なのか、野球ファンなら野球雑学を知っておいて損はありません。ぜひ最後までご覧ください。
三振「K」の語源?とその理由とは?
三振は、どこからどうなってアルファベットの「K」一文字で表されることになったのか。
幾つか諸説はありますが、有力な候補は以下の3つです。
- 「struck」の最後の文字「k」
- 「knock out」の最初の文字「k」
- 「K」の三画が三振と連想しやすい
それでは一つずつ見ていきましょう。
「struck」の最後の文字「K」
バッターが三振するとスコアブックに「K」と記載されるのは、19世紀のアメリカのスポーツライター、ヘンリー・チャドウィックが最初だったと言われています。
彼は「strikeout」の「k」を使用することで、他の記号と区別しやすくしたのです。
特に「K」は「struck」の最後の文字であり、直感的に理解しやすいと考えられました。
ちなみに英語で言うところの「struck」は「strike」の過去形です。
発音は「ストライク(strike)」ですけど「打つ」という意味もあるので、ちょっとややこしい感じもしますけどね。
この「struck」の「k」が三振を意味する一番の有力候補と言われています。
「あれ?でもなんで単語の頭文字「s」ではなく「k」なんだ?」と思った勘のよいアナタ。左の下線リンクをクリックして先をお読みください。
「knock out」の最初の文字「K」
「knock out」と聞くとボクシングでの「ノックアウト」をイメージしますよね。
ということで、ピッチャーがバッターを三振にとる→「knock out」という説です。
ただですね、ピッチャーが次々に打たれて「1回KO」とか、「序盤で先発がノックアウトされた」など野球解説者がコメントすること聞いたことありませんか?
ピッチャーにとってノックアウト(打ち込まれた)なのか、バッターにとってノックアウト(三振)なのか?
もっと言ってしまうと、「knock out」の「k」は黙字といって発音されない文字なんです。
「ノックアウト」であって「クノックアウト」とは発音しませんよね?
発音しない「k」の文字を、敢えて三振の「k」に使用するのか…私個人的には、限りなく使わないと思うのです。
「K」の三画が三振と連想しやすい
三本の直線で構成される「k」は、三振を数えるのに視覚的に適していました。
私たち日本人も、投票数など数を数える際に「正」の漢字を「五」として数えていきますよね。
同じように三画数の「K」は三振を表わすのに、とてもしっくりくるのでは?という説です。
「strike」それぞれのアルファベットの中で、三画は「k」だけです。ということで、視覚的に分かりやすい「k」が三振を表わす記号として野球のスコアボードに定着したのかもしれません。
三振は「struck」が由来なら、なぜ頭文字の「s」じゃないの?
勘のするどい人は、三振の「k」が「struck」という説に違和感があったのではないでしょうか?
「struck」の頭文字ではなく、あえて末尾の「k」だなんて。
これには一応理由があるようです。
野球用語では「s」から始まる用語がいくつかあります。
- 先発(start)
- ストッパー(stopper)
- 完封(shutout)
- 盗塁(steal)
- スクイズ(squeeze play)
- 犠牲バント(sacrifice bunt)
このように「s」から始まる野球用語はいくつかあるので、「s」ではなく「k」が採用されたのでは?と言われています。
野球のスコア「K」と反転「ꓘ」や「K³」の意味
投手が打者から三振を取った際、スコアブックには「K」と記載しますが、「K」の反転文字、逆Kで「ꓘ」という記号が存在します。
野球部のマネージャーだった人ならご存じかもしれませんが、「ꓘ」は【振り逃げ三振】を表現します。
ただし、「ꓘ」が使いづらい・抵抗がある時は「K’」(ケイダッシュ)と記す場合もあります。
また、3バント失敗の三振は「K³」または「◇K」と記します。
三振にも色々な種類があるので、それぞれの三振を表現する』が存在します。
ココが気になる野球のルールのアレ?
知ってはいるけど「どういう意味?」と聞かれると答えられない、野球ファンでも意外に知らない雑学は以下の2つです。
- サヨナラ勝ち【9回裏の「X」】の事実
- ボールカウント【ボール→ストライク】いつから変わった?
それでは見ていきましょう。
サヨナラ勝ち【9回裏のX】の事実
野球のスコアボードにおける「X」の意味をご存知でしょうか?
9回表が終わった時点で後攻チームがリードしている場合、9回裏の攻撃は行われず、スコアボードには「X」が記入されます。
野球を知っているならご存じだとは思いますが、この「X」は「もうこれ以上攻撃はない」「試合終了」という意味です。
ただし!
日本人なら「X」は、もう攻撃する必要がないという意味から「バツ」と思いがちですが、実は未知数を表す「X(エックス)」から来ているのです。
興味深いことに、この「X」という表記はかつて「α」とされていました。
これはアメリカで使われていた手書きの「X」を、ある人が「α」と見間違えて導入したという話があります。
そのため、後攻チームが9回表で試合を終わらせて勝利することを「アルファ勝ち」と言っていた時期もあるのです。
ボールカウント【ボール→ストライク】いつから変わった?
私も野球をやっていたのですが、小さい頃は「9回裏、2アウト満塁、カウントは2ストライク3ボール…」のように、【ストライク→ボール】という順番でカウントされていました。
今は「3ボール2ストライク」とボールを先に読みますよね。
これは、【ボール→ストライク→アウト】の順番でコールするので、それぞれのアルファベットの頭文字を取って「BSO方式」と言います。
従来は、【ストライク→ボール→アウト】の順番なので「SBO方式」です。
日本では、「SBO方式」から「BSO方式」に変わったのは、以下の通りです。
- プロ野球:2010年
- 高校野球:2010年
- 社会人野球:2010年
「SBO方式」から「BSO方式」に変更した理由としては、お察しのとおり「日本でもWBCやメジャーリーグの試合が放送されたから」です。
国際的には「BSO方式」が採用されているので、日本も合わせて変更したのですね。
私は、まだチョットだけ違和感がありますが…。
まとめ:三振の「K」は諸説あるが「Struck」最後の「k」が有力説
三振には【空振り三振】と【見逃し三振】の2種類あり、スコアはそれぞれ以下の通り記されます。
通常の三振=「K」
空振り三振=「Kを〇で囲う」
振り逃げ三振=「ꓘ」または「K’」
バント三振=「K³」または「◇K」
また、後攻チームが9回裏の攻撃をせずに勝利する「X」は「バツでなくてエックス」、【ボール→ストライク→アウト】の順番で言う「BSO方式」は、プロ野球では2010年ごろから始まりました。
普段はあまり気にしない野球のルールや雑学も、ちょっと深堀りして考えてみると面白いですよね。
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