箱根駅伝の繰り上げスタートが過去最多となった2024年大会について解説します。
繰り上げスタートのルールや仕組み、歴史を振り返りながら、2024年大会で注目された記録的な一斉スタートの背景に迫ります。
残念ながら繰り上げスタートとなった16校がどの大学だったかも後ほど紹介します。
箱根駅伝のドラマや感動を改めて知ることになるのでぜひ最後までご覧ください。
箱根駅伝繰り上げスタート過去最多16校を紹介
それではまず箱根駅伝史上過去最多の繰り上げスタートを味わってしまった16校を見ていきましょう。
2024年【100回大会】の繰り上げスタート16校
- 大東文化大学
- 法政大学
- 順天堂大学
- 国士舘大学
- 帝京大学
- 中央大学
- 駿河台大学
- 山梨学院大学
- 東海大学
- 立教大学
- 中央学院大学
- 日本大学
- 東京農業大学
- 日本体育大学
- 神奈川大学
- 明治大学
どの大学も実力がある名門校だけに、青学の凄さを思い知らされました。
それではここから【繰り上げスタート】にまつわる話を深堀りして見ていきましょう。
- 繰り上げスタートの条件
- 【2024年】第100回大会における記録的な繰り上げスタート
- 【1994年】第70回大会でもあった16校による繰り上げスタート
- 往路からのタイム差と「二極化」の現象
- 新記録を支えたチームの戦略と工夫
① 繰り上げスタートの条件
そもそも「繰り上げスタート」の条件を知っておかなければいけませんのでおさらいしておきます。
箱根駅伝では、往路(大手町→箱根町)をトップから何分遅れてゴールしたかが、復路(箱根町→大手町)のスタートに関わってきます。
上記のとおり、箱根駅伝での繰り上げスタート基準は10分ですので、例えばトップから5分差でゴールした大学の復路スタートはトップから5分後となります。
もっと言ってしまうと、トップから9分59秒でゴールすれば繰り上げスタートとはならず、トップから9分59秒後のスタートとなります。
要は、首位から10分以内にゴールした大学は、その時間差で順次スタートしていくわけですね。
ですので、トップから10分以上遅れた大学は、トップの大学がスタートしてから10分後に一斉にスタートとなるのです。
そして、繰り上げスタートにはもう一つ大事なポイントがあります。それは…、
よくよく考えてみると当然ですよね。
トップから10分以上遅れた大学は一斉スタートなので、トップから11分遅れた大学も15分遅れた大学も一緒にスタートするわけです。
その大学がずっと並走して走っていたとしても、実際は4分差があるのです。
ということで、最終順位は往路と復路の合計タイムで決定するということです。
② 【2024年】第100回大会における記録的な繰り上げスタート
2024年の記念すべき第100回箱根駅伝では、繰り上げスタートが箱根駅伝全体の中で大きな焦点となりました。
復路開始時点で16校が繰り上げ一斉スタートした様子は、箱根駅伝の歴史に残る象徴的なシーンとなりました。
この一斉スタートの背景には、青山学院大学が往路で記録的なリードを築いたことがあります。
リードタイムは復路開始時点で10分以上となり、16校がこの基準に達せず繰り上げスタートとなりました。
青山学院大学は、それまでの大会記録を3分以上更新する圧倒的な走りを見せたのですから、本当にとてつもない記録なのです。
その結果、8位から23位までの16校が復路開始時に一斉にスタートすることになりました。
この16校による一斉スタートは、70回大会以来で過去最多タイの記録です。
ちなみに70回大会の16校一斉スタートした大学は、山梨学院大学、早稲田大学、順天堂大学、中央大学の4校以外で以下のとおりです。
③ 1994年にもあった16校による繰り上げスタート
【1994年】70回大会の一斉スタート16校
- 東海大学
- 専修大学
- 神奈川大学
- 日本体育大学
- 日本大学
- 法政大学
- 駒澤大学
- 亜細亜大学
- 東京農業大学
- 国士舘大学
- 東洋大学
- 中央学院大学
- 関東学院大学
- 大東文化大学
- 慶応義塾大学
- 筑波大学
選手たちが横一列に並び、一斉にスタートする光景は、ファンや観客にとっても衝撃的でもあり、なんとかしてここから巻き上げていってほしいと祈る感動的な場面でした。
④ 往路からのタイム差と「二極化」の現象
第100回大会では、往路でのタイム差が顕著でした。
特に第3区におけるタイム差が大きく、上位と下位のチーム間で二極化が進みました。
これは、選手の選抜や戦略が往路に集中した結果として現れたもので、多くのチームが第3区で選手層の薄さを露呈する形となりました。
※画像をクリックすると拡大します
引用元:関東学生陸上競技連盟
過去区間新記録:ヴィンセント選手の59分25秒に迫る、青山学院大学:太田蒼生選手の59分47秒のタイムは圧巻でした。
⑤ 新記録を支えたチームの戦略と工夫
青山学院大学が往路で優位に戦えたのは、原晋監督をはじめとするコーチ陣による綿密に計画された戦略と最新の技術です。
もちろん、その計画を実行できる選手個々の能力や実力も素晴らしいです。
更には、陸上界でも話題となった【高性能シューズ】の採用が結果を後押ししました。
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箱根駅伝の繰り上げスタートの意味と今後の展望
繰り上げスタートは箱根駅伝の中でも特にドラマチックな瞬間の一つです。
過去最多タイの繰り上げスタートが記録された2024年大会を受けて、今後の駅伝戦略やルールの在り方について考えるきっかけとなりました。
それでは、以下の内容で見ていきましょう。
- 大学駅伝の競技文化への影響
- 繰り上げスタートの増加傾向とその対策
- ファン目線で見た駅伝の魅力
大学駅伝の競技文化への影響
箱根駅伝における繰り上げスタートは、大学駅伝の競技文化に深い影響を与えています。
選手たちは、チーム全員の力を結集してタスキを繋いでゴールするという目標があります。
繰り上げスタートによってその目標が達成されない場合、非常に大きな悔しさが残ってしまいます。
それでもなお、スタート後も全力で走る姿は、選手としての誇りや精神力の強さがあるのでしょうね。
繰り上げスタートの増加傾向とその対策
近年、繰り上げスタートの回数が増加傾向にあるのは、上位チームの戦力強化や戦略の進化が要因です。
特に青山学院大学のような強豪校が記録的な走りを見せる一方で、その他のチームとの実力差が広がりつつあります。
これに対して、一部では繰り上げスタートの基準時間を見直すべきだという議論もあります。
競技全体のバランスを保ちながらも、全チームがより競り合うことのできる環境作りが求められています。
ファン目線で見た駅伝の魅力
ファンにとって、繰り上げスタートは駅伝の醍醐味の一つです。
タスキがつながらないことは残念な出来事ですが、それでも競技を最後まで走り抜く選手たちの姿には大きな感動があります。
また、繰り上げスタートによって生まれる新たな順位争いやドラマも、観客を惹きつける要因です。
ファンの中には、こうした光景を楽しみに箱根駅伝を見守る人も多く、結果的に駅伝の人気や注目度を高める効果もあります。
下の動画は箱根駅伝ファンでも語り継がれる神奈川大学の繰り上げスタートです。ボクもリアルタイムで見ていてとても感動しました。
まとめ:箱根駅伝繰り上げスタート過去最多は1994年と2024年の16校
復路スタート時に16校が一斉繰り上げスタートしたのは、1994年と2024年が過去最多です。
おさらいしますと、その16校とは以下の大学です。
1994年
- 東海大学
- 専修大学
- 神奈川大学
- 日本体育大学
- 日本大学
- 法政大学
- 駒澤大学
- 亜細亜大学
- 東京農業大学
- 国士舘大
- 東洋大学
- 中央学院大学
- 関東学院大学
- 大東文化大学
- 慶応義塾大学
- 筑波大学
2024年
- 大東文化大学
- 法政大学
- 順天堂大学
- 国士舘大学
- 帝京大学
- 中央大学
- 駿河台大学
- 山梨学院大学
- 東海大学
- 立教大学
- 中央学院大学
- 日本大学
- 東京農業大学
- 日本体育大学
- 神奈川大学
- 明治大学
特に、2024年においては往路で青山学院大学が築いた圧倒的なリードと、全体的に選手層の薄さが目立った3区の展開がありました。
3区は1区と同じくスピード重視の区間ですが、本大会では特に1区が重要視されて各校の有力選手が1区へ。
その影響で、全体的に3区が手薄となってしまうも、青学大の調子が素晴らしく、過去の大会以上に差が開いてしまったのです。
繰り上げスタートは競技の進行を円滑にするための仕組みでありながら、タスキリレーが叶わなかった選手たちの悔しさや、それでも走り抜く姿が多くの感動を与えます。
近年の繰り上げスタートの増加傾向は、競技の公平性やルールの見直しを議論するきっかけにもなっています。
とはいえ、繰り上げスタートはファンや観客にとっては感動するシーンでもあり、箱根駅伝の魅力の一つともいえるでしょう。
繰り上げスタートが示す競技の深さや絆の大切さを、今後も見守り続けたいですね。